Vanillekipferln(バニッレキプフェルン)は
ウィーンでアドベント(クリスマス前の4週間)の期間に焼かれるクッキーです。
ドイツに留学していた方も、知っていたので、
きっと、ドイツ語圏内では定番のお菓子かもしれません。
バターがたっぷり入った、雪のように粉砂糖がまぶしてある
三日月型のお菓子です。
ウィーンでこのお菓子がリボンでクリスマスツリーにつるしてあるのを見たこともあります。
この、粉砂糖がVanillezucker(バニラツッカー)と言って、
バニラの香りがする粉砂糖。
日本にはなかったのでずっと焼くのをあきらめていたのですが、
最近では通販や東急ハンズなどで、売られているようです。
私はというと、粉砂糖を瓶に入れて、バニラビーンズを入れ一週間待つと、
香りがつくことを知り、これを使いました。
このレシピも各家庭で違うようで、
バニッレキプフェルが上手に焼けるのも良い奥さんの条件と聞いたことがあります。
私がウィーンの知り合いのクリスティーナおばさんに教わったレシピには
卵を使わないタイプのものでした。
毎年子どもや孫のために500個も焼くと言っていました。
焼きあがって熱いうちに粉砂糖の中に入れます。

この三日月型。
実はオスマントルコのウィーン包囲の際、
トルコ軍の旗についていた三日月のマークを見て、
パン職人がパン生地を三角に巻いて作ったのが始まりと言います。
初めはクルミなどが入っていたそうです。
ウィーンではクッキーでもパンでもこの形のものを
キプフェルンと呼んでいたと思います。
あの
マリーアントワネットがフランスに嫁いだ後、
ウィーンで食べた
キプフェルが食べたくて、命じて作らせたそうで、
これが、フランスの
クロワッサンになって、残っているそうです。
クロワッサンという言葉は1900年初めにフランス語に出てきたそうですので、
意外と新しい言葉だったのですね。
アントワネットはたった一人、異国の地で、
どんな思いで母国のキプフェルンを食べたのでしょうね。